No116 九 州 編(福津市津屋崎〜糸島市高田)

今日は博多まで28kmの旅。
その博多では楽しみが待っている。
旧友の中村君と夜イッパイやる約束がついている。
宗像市に住む彼に数日前に電話すると、自宅に泊る様に誘ってくれた。
うれしい話で迷ったけれど、博多のホテルに泊ることにした。
魅力的な誘いに乗って、一人旅のリズムと緊張が崩れてしまう恐れを感じたから。
彼は残念がったけど、それでは博多で夜飲もうと云ってくれた。

津屋崎から博多への沿道は、にぎやかな市街地が続く。
福岡大都市圏の勢いを思わせる賑わい。
国道495号から国道3号に入ると、いっそう華やいでくる。
食事する店も様々あって、昼時のいつもの心配は無用だ。
むしろ迷うほど店がある。
そして結局入ったのは、香椎参道口近くの中華店。
ラーメン、餃子それにおにぎり2個で790円ナリ。

沿道の活況に元気づけられるのか、足取りが軽い。
前方に石の塔の様なものが見える。
近ずくと、橋の高欄親柱で、「名島橋」の橋名版がついている。
さらに進むと、巨大な大鳥居前に到る。
これもナント石造物。
箱崎宮の大参道口だった。
巨大な石造物は、文句なく重厚な威厳を漂わす。
近代的な街なかに、古来からの神域が顔をのぞかす様。
いよいよ博多の中心市街地になろうかと云う所に、古い街並みを思わせる建物前を通る。
そこに女子中学生らしい数人が、ランニング姿で駆け抜けて行く。
先へ急ぐ気持ちが強く、建物に余り注意を払わなかった。
しかし、「博多百年蔵」のポスターが入口に貼ってあった、と後で気付く。

今日の宿は、JR博多駅の南にある。
それで、博多駅を北西方向から東へ大きく廻り込むようにして駅東口に着く。
駅前広場には、「博多どんたく」の絵タイルを貼った四角すいのモニュメントが出迎えてくれた。
駅舎の入口は、修学旅行と思われる中学生で溢れている。
駅から今日の宿に電話すると、ここからさらに1km程南だと云う。
ホテルについて、すぐに入浴して身体を洗う。
それから、旧友の中村君に電話して、18時に天神にある西鉄グランドホテルのロビーで待ち合わせすることに。
ところが、旅便りのメールを送ったりしていたら、あっという間に17時半になり慌てる。
ホテルから博多駅までのシャトルバスに飛び乗り、駅から地下鉄で天神駅へ。
ホテルロビーに定刻より少し遅れて着くと、懐かしい旧友の顔が待っててくれた。
福岡と云えば、中洲の屋台でイッパイと行きたいところだ。
しかし、中村君は落ち着かないからと、彼の馴染みの店に案内してくれる。
もう何年も会っていないので、その空間を埋める様に語り合う。
ほろ酔いのイイ気分になっても別れがたく、名物豚骨ラーメンで締めくくる。
ラーメンの「麺のおかわり」を「替え玉」というそうで、チョッとした発見だった。



次の日は、ここ博多のホテルに連泊し休養日とする。
幸いと云うか、生憎と云うべきか、今日の天気は雨だ。
石川県金沢市から旅立って48日で2回目の休養日。
旅の計画段階から博多では、連泊することに決めていた。
旧友に会ったり、再開発プロジェクト「キャナルシテイ博多」を訪ねてみたかったから。

昨夜は旧友と楽しい夜を過ごし、ホテルに着いたのは午前0時近かった。
それでも朝は、いつも通り6時少し過ぎに起きた。
このホテルは朝食サービスがあり、おにぎりとみそ汁の軽食をとる。
それから、ホテルのコインランドリーで洗濯。
洗濯して乾燥機にかけて部屋に戻る。
もう終る頃かと見に行くと、乾燥機はまだ回っている。
気になってちょくちょく行くけど、やはり同じ。
何度目かに、「乾燥を終えた洗濯物はフロントに保管してます」の貼紙に気づく。
乾燥はとっくに終わって、洗濯物はフロントにあった。

それから、ホテルのパソコンを使いインターネットで宿を探しながら旅の行程を練った。
昼になって、近くのファミレスでハンバーグランチを食べる。
ホテルに戻ってひと眠りしたら、も15時半になる。
急いで「キャナルシテイ博多」へ歩いて行く。

「キャナルシテイ博多」は那珂川の東岸にあり、有名な歓楽街のある中洲と対面している。
平成8年にオープンした複合商業施設で、物販・飲食店、ホテル、映画館、劇場等がある。
施設の中心軸にキャナル(運河)を引き込んだ企画・設計は、当時大きな評判を呼んだ。

オープンから10年経って、この複合商業施設がどうなっているか興味津々。
施設の中に入ると、水辺を活かした都市空間は、今までの日本にはない雰囲気。
土曜日と云うこともあってか、家族連れも多くまずまずの賑わいだ。
家族連れで思い出したのが、3歳になった孫の誕生日。
旅の途中で何か良いものを見つけ、「誕プレ」として送るつもりだった。
それが見つからないままなので、今日こそと施設内を探し歩く。
結局、絵本にして、近くのコンビニで宅配便の手続きをする。
夕食をどうするか迷ったけれど、コンビニで弁当と缶ビールを買う。
それをホテルの部屋で食べながら、サッカーの国際試合「日本×スコットランド」戦のTV中継を観る。
試合結果は、〇ー〇の引き分けだった。



休養日明けの朝は晴天になった。
ホテルの朝食サービスでは、おにぎりをしっかり4個食べる。
今日の旅は、前原市(現糸島市)高田まで21kmと比較的短い。
疲れもとれて、元気良く出発だ。

旅支度を整え部屋を出ようとした時、窓ガラスにクッキリと旅姿が。
思わずカメラを構えてパチリ。
博多の中心通り「大博通り」を抜けて明治通りへ。
西大橋のたもとで、「福博であい橋」と中洲に向けてカメラを向ける。
「グッバイ博多」の気持ちを込めてシャッターを押す。
明治通りをさらに進むと、石垣と小さな城が見えてきた。
近ずくと「大濠公園」だった。
大きな池もある大公園で、大勢の人達が朝の散歩を楽しんでいる。
ここで写真を撮ったりして、長めの休憩をとる。

福岡市の西部も賑やかな市街地が続く。
特に明治通りは、地下鉄が通っていて時々地下鉄駅の入口が顔を出す。
地下鉄姪浜駅の近くで昼時になり、中華店に入る。
ここでは、中華丼(680円)にしたが、九州は本州に比べ物価が少し低い気がする。
姪浜からしばらく行くと、右手は長い松林になった。
「生(いき)の松原」と呼ばれる「白砂青松百選」に選ばれる名勝地だと云う。
樹齢百年を超えるクロマツ林を抜けると、約2,5kmといわれる弓状の砂浜に出る。
その美しい砂浜に「元寇防塁」と呼ばれる石造物が続いている。
有名な「蒙古襲来絵詩」が描かれたのは、この場所だといわれる。
防塁に腰を下ろし、今津湾を埋め尽くす蒙古の軍船を思い浮かべてみる。
しかし、それは続かず無理だった。
穏やかな海原には、幾つかのヨットの白い帆が並んでいる。
砂浜では家族連れが波打ち際で楽しげに戯れる。
余りにもかけ離れた姿がそこにあった。

さらに、今津湾の海岸線に沿って進むと、長垂海浜公園と云う所に出会う。
ここもきれいな砂浜があり、腰を下ろして休憩する。
浜辺でカメラを持った女高生3人が楽しげに写真を撮り合っている。
見ているこちらも楽しくなってパチリ。
そんなのんびりした歩みでも、今日の宿には15時少し過ぎに着いた。
福岡市から前原市(現糸島市)に入って直ぐの所にあるビジネス民宿だった。
宿の玄関で大声で呼んでも誰も出ない。
ここもチェックインには早すぎるかと、周辺で時間をつぶすことに。
近くに本屋があり、司馬遼太郎著「人間というもの」(520円)を買う。
宿の玄関でその本を読みながら、宿の人を待った。
16時を過ぎたので、予約した番号に電話すると、女将さんが出てきたので驚く。
もっと早く電話すればよかった、と悔やむ。

女将さんは、予約では素泊まりで5000円ということだったが、4000円で良いと云ってくれた。
「歩いて日本一周している」と話したら、感心してさらに3000円にしてくれる。
おまけに朝食も500円で作ってもらえることになった。



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