No143 山 陽 編(広島市中区舟入〜呉市安浦町)


連泊して休養した翌日は、呉市吉浦中町まで約27kmの旅。
今日からサマータイムに切りかえて、出発を一時間程早くする。
天気は曇りで、休養明けでもあり先ずは快調に進む。
京橋川に架かる平野橋付近では、午前8時頃で交通ラッシュだ。
長く歩く旅をしていると、こうした都会の喧騒の中では異星人になった気分だ。

それにしても、広島は川の多いまちだ。
今日も国道2号を行くと、幾つもの川を渡る。
海田町(現海田市)に入って直ぐのJR海田市駅付近で大きな立体交差点になる。
そこからは、再び内陸に向かう国道2号と海沿いを行く国道31号に分かれる。
その国道31号に進むと、JR呉線と並行する道になる。
坂町に入ってしばらくすると、心配したことになった。
サマータイムにしたことによって、朝のいつもの行事がひとつ抜けた。
そのため腹が張って、トイレに行きたくなる。
歩く旅では、こういう時、すぐにトイレが見つかるとは限らない。
必死に周辺を見渡すと、坂町役場の標識が見えた。
急いで行ってみると、立派な文化ホールがあり、内にはトイレがありそうだ。
文化ホールの窓口で、許可をもらってトイレに飛び込む。
歩く旅で、気を付けなくてはならない問題のひとつがこれだ。
今回は折よく公共施設があって、ホントにラッキーだった。

トイレでホッとしたせいではないが、その後は気温も上がって、急速にスタミナが落ちる。
おまけに昼時になっても、食事処やコンビニ等が見つからない。
大きな工場の様な建物の日陰で休んだ後、立ち上がると先の方に飲食店らしき看板が。
近ずくと社員食堂の様な造りと雰囲気の店があった。
出入りは自由なようで、ラーメンライスを注文する。
昼食後、歩き始めると直ぐにJR小屋浦駅の前になる。
まだ30分も歩かないのに足が重い。
次のJR呉ポートピア駅前では、歩道橋の階段にへたり込む。
しばらくすると、若いお母さんが坊やと手をつないでやって来た。
二人でポートピアパークにやって来たのに、あいにく今日は休園の様子。
がっかりする坊やをなだめながら歩く親子をパチリ。

ここで1時間程の長い休憩をとって、ようやく出発する。
途中、コンビニで梅ジュースの補給をして、JR吉浦駅前に着いた。
今日の宿は、この近くのビジネスホテルで直ぐに見つかった。
予想していたよりも大きなホテルだ。
女将さんはシングルルーム料金で、ホテルで一番良いツインルームに案内してくれた。
もちろんバス・トイレ付だけど、共用の大きい浴室も使って良いという。
さっそく共用風呂へ行き、足をのばしゆったりと湯に浸かる。



今日は、呉市安浦町まで約28kmの旅。
同じ呉市で、吉浦町と安浦町でちょっとややこしい。

今日はサマータイムをさらに早めて、午前7時10分に宿を出る。
それでもすでに気温は高く、すぐに大汗をかく。
昨夜も少し部屋の冷房が強く、何度も目を覚まし起きる。
こうした寝不足もあるのか、身体もやや重い。
それでも歩く速度は普段並みで、JR呉駅前に着いた時は丁度午前8時だった。
さすが呉駅は地方駅としては、大きな駅舎で人出も多い。
駅前の階段で休憩をとり、アーケード通りを行くとトンネルになった。
「休山トンネル」と云うそうで、中に入って驚く。
歩道と車道の間は、大きなガラス壁で遮断されている。
いままで沢山のトンネルを歩いたけれど、こんなのは初めてだ。
お陰で車も排気ガスも気にすることなく歩ける。
しかもトンネル内は涼しく快適で、ずーとトンネルが続いて欲しいと思うほど。

この様なこともあって、ほぼ1時間毎の休憩間隔で順調に進む。
ところが、JR呉線の広駅の待合室で3回目の休憩をした後から、急速にスタミナが切れ出す。
次の仁方駅を探し、待合室に転げ込む。
一息ついてから、近くの店でカツサンドと牛乳を買い、待合室で早めの昼食をとる。
この駅も無人駅で、待合室は飲み物等の自販機の灯りだけがやけに目立った。
昼食休憩後も気温はさらに上がり、体温を下げるのに苦労する。
駅の待合室で休憩する時は、タオルを水で濡らし頭を冷やす。
それでも出発しようと思っても、足が動かず休憩時間を延長することも。

こんな旅でも、瀬戸の海には多様な景観があって楽しませてくれる。
そのひとつは、中央径間が750mあるという安芸灘大橋だ。
吊り橋構造の橋は、主ケーブルがゆるい大きな曲線を描いて美しい。
もうひとつは、思いがけなく眼に飛び込んできた造船所風景だ。
呉はかつて戦艦大和を建造した土地だ。
その造船の伝統がこうして引き継がれているに違いない。

今日の宿は、JR安浦駅のすぐ近くにあった。
宿の建物には、旅館とホテルの二つが付いた看板が掲げられている。
玄関に入って時計をみると、もう17時30分になっていた。
休憩を重ねてやっとたどり着けた、長い一日だった。


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