No153 四 国 編(伊予市灘町〜大洲市大洲)

今朝、宿の女将さんは元気だった。
昨日の疲れた感じはない。
もう70歳を過ぎたけど、気功や太極拳で身体をきたえているという。
応接室でそんな話をする女将さんを撮らしてもらう。
名刺を交換して、後日写真を送る約束をする。

きょうは大洲市長浜まで約30kmの旅。
宿を出る時はくもりで、麦わら帽子はもう不要と宿に置いて行く。

三秋というところの峠を越えると小雨になる。
その後は、雨が降ったり止んだりとなる。

雨降りの日は、日射しもなく涼しいので疲れが少ない。
道の駅「ふたみ」では、雨の中、人気のない木製デッキで休憩する。
あったかい缶コーヒーを飲みながら瀬戸の海を眺めても何も見えない。
まだ昼少し前で、もう少し先で昼食にしようと出発。
しかし、それは甘かった。
道は海沿いをJR予讃線と並んでどこまでも続く。
行けども行けども、食事が得られそうな処はない。
右手側の伊予灘は、遠くに小さな島影がひとつ見えるだけで、海原が180度ひろがる。
左手に立派な黒瓦屋根に黒塗りの板壁造りの家々があらわれる。
どっしりとした風格があって吸い寄せられる。
日本の沿道風景は、どこも似たり寄ったりになり、土地の個性が感じられなくなっている。
そうしたなか、こうした風土に溶け込んだ家並みは、うれしい気分にしてくれる。

ようやく串というところで、一軒のレストランを見つける。
もう午後1時半過ぎで、お腹はペコペコ。
メニューから海鮮丼(1200円)を選ぶ。
運ばれてきた海鮮丼はかがやくよう。
モノトーンの風景に馴染んだ眼には、海鮮丼の彩りがまぶしい。
もちろん食材もみな新鮮でおいしい。

昼食後も小雨が続き、喜多灘というところで休憩する。
小さな酒屋の軒下で腰を落としていると、店の中から声がかかった。
店のおかみさんで、中で休みなと誘ってくれる。
小雨が降っているので、これはありがたかった。

JR予讃線伊予長浜駅前に着いて、今日の予約した宿に電話する。
宿は長浜の街中にあり、電話で教えられた道を行く。
天候のせいか方向感覚がおかしくなり、何度も迷う。



次の日は曇りで、朝方は涼しかった。
今日は大洲市大洲まで20km弱の旅。
ここ伊予長浜からは、JR予讃線と一緒に、肱川をさかのぼる道になる。
海からの強い風も肱川をさかのぼるように吹いている。
旅人にとってありがたいフォローの風で快適に後押ししてくれる。
そうして歩いて行くと、巨大な車が見えた。
近ずくと、なんと車の形をした家だった。
こんな家を作ってしまうのは、どんな人だろうかと微笑んでしまう。

ここは、「肱川あらし」で有名なところ。
11月から3月頃に、川から海に向かって霧が流れ込む現象。
うなり音をたてて吹き荒れる強い風にのって、雲海は海上数キロに達するという。
海と陸地の温度差のある晴天の日の早朝に発生するそうだ。
いまは10月6日で、それを観るにはまだ早い。
肱川の川面を眺めながら、その現象を想像してみる。

しかし、11時頃を過ぎると強い風も止んで気温も上がる。
疲れが出て、バス停で休憩中に少し眠ってしまう。
その後も、JR予讃線の無人駅で休憩をとりながら進む。

やがて道は大洲の市街地に入って、国道56号に接続する。
その交差点のところに、懐かしいファミレス「ジョイフル」があった。
昼時でもあり、久し振りとばかりに店内に入る。
日替わりランチ(479円)は、相変わらずお得なランチ。
この後順調に行けば、宿には13時過ぎに着いてしまう。
それで、時間調整を兼ねてゆっくりしたりランチをとる。

昼食後、国道56号を行くと、肱川が大きく蛇行するところに出る。
向こう岸の丘の上にお城が見える。
大洲城だ。
ここでは鵜飼いがあるそうで、岸辺に鵜飼船が列をなしている。
肱川橋を渡ると、大洲の旧市街の雰囲気。
国道から商店通りに入って行く。
商店街の通路の柱は竹でおおわれ、竹製の花入れに赤い花が活けられている。
なにかちょっと、城下町らしい品格をおぼえる。
商店通りの突き当りの交差点角に今日の宿があった。
想像していたよりも大きな木造三階建ての旅館だ。
旅館の前に立ったのは14時45分で、荷物を預けて急いで大洲城へ行ってみる。

大洲城は、旅館から500m位のところだった。
観覧時間は午後5時までと云うので、観覧券(500円)を購入して入る。
大洲城の天守閣は、明治の時に取り壊されたという。
しかし、解体を免れた4つの櫓は重要文化財に指定されている。
天守閣も二年前の平成16年に忠実に復元された。
その4層4階の木造天守は、威風堂々の美しさがある。
天守閣の中は、まだ木の香りが残っていた。
残念なことに、天守閣からの眺めは窓が小さく屋根が邪魔してよく見えない。
それで、城内の展示物をみて廻る。
そのなかに、江戸時代の城下の地割り図があって、現在もその形が非常によく残っているのが興味深かった。

城跡の石垣の上からは、城下のまちがよく見渡せた。
今日歩いて来た肱川橋方面にカメラを向けてシャッターをおす。
お城は、まちのシンボルで市民の誇りでもある。
そんなことを感じながら、城跡の道をくだる。

今日の旅館は、洗濯機、乾燥機共に無料で、風呂もいつでも入浴OKだという。
ロビーに置かれた最新のマッサージ機も無料だった。
晩酌のビール大びん400円も格安。
とても気持ちの良い宿だった。


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