No24 ひたち・みちのく編(宮古市〜岩泉町)

宮古市津軽石から宮古市の中心市街地までの約8kmは、宮古湾沿いを北上する道だ。
この細長い入り江の風景は、どこかで見た感じがした。
スコットランドのネス湖の風景に似ていた。
浜辺で、5年前に観たその時の記憶を目の前の風景に重ねながらしばし休息をとった。

それから宮古市役所がある市街地を抜けると、長い坂を上ったり下ったりの山道になった。
トンネルも5ヶ所あったが、全部に狭いながらも歩道が付いていたので助かった。

単調な旅ではあったけれど、宮古市田老町の宿には順調に着いた。
民宿となっているが、小ぎれいで建物の造りもしっかりしていた。
玄関には、あふれるばかりのスリッパが揃えられていたので少々驚いた。
今日は地元の人の宴会があるということだった。
地元の人も利用する料理旅館でもあるようで、しっかり調理されたおいしい夕食の膳だった。

翌朝、宿を出るときはくもりだった。
田老町の市街地を抜けて、道の駅「たろう」のあたりからは、ポツリポツリと降り出した。
そしてその後は、ずーと小雨続きだった。
この日は、岩泉町小本という所まで18kmの短い旅だ。
ところが、途中はほとんど民家もなく雨の中、休む場所を見つけるのに苦労した。
道の駅を過ぎて最初の休憩では、小さなドライブインしかみつからなかった。
店の中は食事処の雰囲気で、昼食には時間的に早すぎた。
どうしたものかと迷っていたら、店のおばさんが「お茶でも飲んで休んだらよいでしょう」と声をかけてくれた。
それで、コーヒーはありますかと聞いたら、インスタントならあるということで、それを頼んだ。
ミルクはないというので砂糖を入れてもらって飲んだ。
雨にぬれた身体だったので、この200円のコーヒーはありがたかった。

2度目の休み場所もなかなか見つけられなかった。
三陸鉄道北リアス線の摂待駅が見えた時は嬉しかった。
三陸の鉄道駅は、高い位置にありホームの待合室からの眺めは、旅情をそそられることが多い。
駅にはトイレもありこの面でも旅人には大助かりである。
この日も、この待合室で休んだ後、周辺の風景を撮ったり、自分の旅姿を三脚で撮っていた。
そこへ若い女性がやってきた。
それで、ホームに立つ私の雨姿をしっかり撮ってもらおうと頼んでみた。
快く応じて撮ってくれたので、今度はあなたを撮らせて下さいと云ったら、これも快くうなずいてくれた。
自分の名刺を渡して、歩いて千葉県の銚子駅前から北海道まで行くと話したら、おおいに興味を示してくれた。
名前は須賀原さんといって、宮古から摂待に音楽を教えに来て帰るところだという。
後で写真を送れるように住所を尋ねても良いだろうか、と迷っているうちに列車が来てしまった。

3度目も、やっと小学校の廃校舎らしい建物を見つけて、その玄関で雨宿りをした。
むかし朝礼台だったと思われる鉄製の台と置き忘れた野球のバットとボールが雨にぬれている。
旅人一人がそんな場面を眺めながら物思いに沈んでいる。
まるで映画の一場面のようだと、その旅人は苦笑するのだった。


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