No32 北の大地 編(大間町〜北海道函館市)

今日の旅は、大間港からフェリーで函館までだ。
宿は港の近くにあって、フェリーの出航時刻11時30分まで時間は十分にあった。
それで朝は宿でのんびりしていた。
ところが宿の主人から、組合の会合にでるので9時30分までに宿を出てくれと言われ少々あわてた。
仕方なく宿の前で、夕べの佐藤さんと彼の愛車ハーレーの写真を撮らせてもらって出発した。

大間港は漁港と変わらない様子で少し拍子抜けした。
出航まで1時間半以上あり、港周辺を撮影したがあまり興味をひくものがなかった。
それに結構寒く、小さな待合室で持参の本を読んで過ごした。
大間と函館を結ぶ東日本フェリーは、運行時間が約2時間で料金は1140円であった。
船は定刻通り出航し、航海も順調だった。
甲板で津軽海峡を眺めた後、2等船室で横になて30分位眠った。

目が覚めると函館の街が見え、みちのくの旅も終り、いよいよ北の大地北海道の旅がはじまる。

フェリーは、1時間50分と少し早めに函館港に着いた。
船から降りたって北の大地に一歩を踏み出す時は、これから新たな旅が始まるとの想いに駆られた。
ここから、今日の宿があるJR函館駅前までは、思っていた以上に距離があった。
お昼はとうに過ぎていて、途中で見つけた食堂「一徳」という店に入った。
味噌ラーメンを食べて、代金を支払うときに店のおばさんに話しかけられた。
そして、歩いて北海道一周ができたら、帰りにまたこの店に寄ると云ってしまった。

JR函館駅前に着いたら、今日の宿東横インホテルが眼に飛び込んできた。
このホテルは、女性のセンスを活かすために女性が中心になって運営するチエ―ンホテルだ。
女性だけでなく男性にも好評で、全国に業績を伸ばしているホテルだ。
部屋は清潔できれいだ。そして旅人の必要なモノが過不足なくサービスされ、宿泊料金も手頃な価格になっている。
ここ函館駅前朝市店は、朝食はおにぎりとみそ汁、夕食はカレーの軽食が無料で提供される。
この旅では、宿のごちそう料理で食べ過ぎ気味なので、かえってこの軽食で胃腸を整えられたようだ。


次の日は、このホテルに連泊することにした。
北の大地に歩を進める前に、ここで一日、心身の調子を整えじっくりこれから先の行程を考えてみることにした。

午前中は、ベッドメイキングの合間を利用して、函館の街を散策することに。
先ずは目の前の函館朝市からと歩き始める。
朝市と云っても、常設の店が建ち並ぶ一帯である。
土曜日の朝で、さすがに早くも大勢の人があちらこちらの店をのぞき込んだりしていた。
海の魚介類を扱う店が中心で、高校生らしい集団がメモ帳片手に歩いているのが印象に残った。
ここを一廻りして街中に出る。

街中には、路面電車があってレトロなデザインの電車が眼を楽しませてくれる。
たまたま見つけた喫茶店に入り、コーヒーとケーキ(モンブラン)を注文した。
どちらも美味しかった。テーブルに置いてあるパンフを読んだら、昭和7年創業の珈琲焙煎工房「函館美鈴」とあった。
この年4月に東京杉並にも店を出したとあった。

今こうして遠い見知らぬ店で、ひとりコーヒーを飲んでいる自分がいる。
それは旅で味わう不思議な感覚だった。

それから、函館のドッグ跡地を再開発し賑やかになった赤レンガ倉庫街に行ってみた。
若い女性たちが大勢押し寄せて華やかな雰囲気だった。
それを眺めて昨年の今頃、会社の送別旅行でここに来たことを思い出した。
その時は、再びここに徒歩旅行で来るなど夢にも思わなかった。
定年退職して日本一周徒歩旅行していることは、やはり私の人生が大きく転換したのだとしみじみ思った。



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