No64 北の大地 編(苫前町〜留萌市)

今日も快晴で、気温が上がり日射しも強そうだ。
しかも、小平町まで32kmのロングな旅になる。
旅館の女将さんに、昼食用のおにぎり弁当を用意してもらい気合を入れて出発する。

今日の道は、日本海沿いをまっすぐ南に下る。
小高い山の上には、おびただしい風力発電の巨大な風車が立っている。
山間の道では、まるで風車の林の中に入り込むような錯覚を覚えた。
海に向かって立つ民家は、沢山の小幅な板を縦に打ち付けた防風雪柵で囲まれている。
今日はそれほど感じないが、海からの強い風にさらされる地域なのだ。
冬の強い風と雪がこの木板の柵に襲いかかる様を想像する。
その厳しい冬をここの人たちはどのような想いで過ごすのだろうか。

そんなことを考えながら歩いて行くと、パッと明るい雰囲気の浜辺が眼に飛び込んできた。
鬼鹿ツインビーチという海水浴場だった。
苫前町の栄浜ビーチよりもかなり規模が大きい。
駐車場には沢山の車が集まり、浜辺に大小様々なタイプのテントが張られている。
その賑わいに少し圧倒されながら、水洗い場の屋根の下でシートを広げて昼食をとった。
孤独な旅を続けていると、こうした賑やかさは旅人にジワジワと元気を取り戻させてくれる。
食後は、ビーチをぶらぶら歩いて写真を撮る。

鬼鹿ビーチでゆっくりして先に進むと、道の駅「おびら鰊番屋」があった。
昼食休憩をとったばかりだが、暑いのでここでソフトクリームを買って休憩する。
そこを出るとすぐ横に、「花田家の鰊番屋」と云う建物があり、国指定の重要文化財だそうだ。。
道の駅の建物はこの花田家鰊番屋を模造したもので、名前もこれに由来していることを知る。
この鰊番屋は、現存する鰊番屋としては最大規模だそうだ。
ヤン衆が200人程も寝泊まりしたと云う豪壮な建物だ。
入館(有料)しようか迷ったが、今日はロング行程でこれ以上時間の浪費はできないとあきらめる。

道の駅から先は、右側は日本海の波打ち際、左側は山が迫る一本道だった。
西に傾いた夕陽をまともに受け続け、休憩したくとも樹木や建造物等の日陰がない。
おまけに、護岸や歩道の上は熱くて腰を下ろせない。
ようやく、道端の生い茂る雑草の中に、水道か何かのマンホールで出来た小さなまるい空間を見つけた。
そこにシートを敷いて腰を下ろし、雨傘をさしてホッと一息ついた。
歩く旅でしか味わえない、笑ってしまうような苦い思い出である。

小平町の市街地に入る手前にトンネルがあって、その入り口近くで自転車旅行する男性と出会った。
わたしとは反対方向に通り過ぎようとして、自転車を止め話しかけてきた。
富山県の63歳になる上野さんと云う。
自転車で野宿しながら1カ月かけて北海道一周中だそうだ。
わたしが4ヶ月、歩いて旅をしていると話したら、ビックリした顔になった。
そして、「わたしは15日で、もう、かあちゃん恋しくって」としみじみとした声で話す。
思わず笑いあって、お互いを励まし合い別れる。

今日の宿「ゆったりかん」は、小平町総合交流ターミナル施設だそうだ。
予約の電話をしたら、VIPルームしか部屋の空きがないという。
それで、思い切って予約したので、VIPルームからどんな日本海のサンセットが見られるかと、楽しみに玄関ロビーに着いた。
丁度その時、わたしの携帯が鳴って「身障者が入ったので、一般の部屋と交換してほしい」とフロントからの電話だった。
身障者と争ってもと、仕方なく部屋は和室を条件に受け入れることに。
その一般部屋の和室は、広くて一人で泊まるのは勿体ないようなきれいな部屋だった。
食堂となるレストランも、都会の一流並みの雰囲気だ。
ただサンセットだけは、この時期は右手前の岬に隠れてしまい期待はずれ。


昨日頑張った分、翌日は留萌市まで12kmと短い旅になった。
漁で獲ったばかりのイカを干す風景等を眺めながら歩く。
すると、いつの間にか留萌の港がみえ、そこから市街地に入った。
JR留萌駅前に着いた時は、まだ昼前だった。
昨日、宿の電話帳で留萌市の宿泊施設を探したが、適当なところが見つからなかった。
それで、今日の宿は留萌駅の観光案内所で調べて決めるつもりだ。
留萌駅近くのおみやげ店に入ると、そこは観光案内所も兼ねていて留萌市内の旅館マップがあった。

その旅館マップから、できるだけ駅に近い旅館を探して予約をした。
しかし、チェックインは15時と云うので、荷物をその旅館に預けて市街地散策する。
市街地をぶらぶらして、郵便局に寄りそれから駅近くの喫茶店に入った。
コーヒーを飲みながら店に置いてあるマンガ「ゴルゴ13」を読んで15時頃まで過ごす。

宿では、夕食の時に一人の男性と一緒になった。
茶道具のセールスマンで55歳だと云う。
留萌には何度も来ているようで、この旅館を定宿にしているそうだ。
茶道具や古美術それに子供のことと次々と話題がでて愉快な夕食となった。



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