No78 津軽・出羽 編(三種町鹿渡〜秋田市土崎)

今日はこの旅一番の短い旅で、三種町鹿渡から八郎潟町JR八郎潟駅前までの11kmである。
そして八郎潟駅前の宿には、我家から後方支援物資が届いているはずだ。
なんとなく、のんびりしたうれしい気分の出立である。

宿を出て30分程歩くと、道の駅「ことおか」に出会う。
旧羽州街道から国道7号線に入ってすぐのところで、ここで小休止する。

そこから先の沿道は、ふたたび黄金色した稲穂の大海原になる。
そして目にしたのが、北緯40度の標識だ。
たしか岩手県普代村でも目にして、北緯40度にどんな意味があるのかと考えたことがあった。
この時も良く分からなかったので、旅を終えた後に調べてみた。
地図をひろげると、北海道から九州までが、北緯50度から北緯30度の間にすっぽり収まっている。
だから見方によっては、北緯40度は日本の中心ということかと想像する。
また世界に目を向けると、北緯40度線上又は前後近くには、北京、ローマ、マドリード、ニュウヨーク等の都市がある。
世界の重要都市がひしめく緯度線でもあると云うことか。

三種町と八郎潟町の両方にまたがるところに三倉鼻公園というのがあった。
かつては、埋め立て前の八郎潟が眺められる眺望の良いところだと云う。
公園周りを歩いてみたが、頂上まで登らないといけなかったようで、そんな場所は見つからなかった。
がっかりして先に進むと、道はJR奥羽本線を横断する陸橋となり、そこからの眺めに惹きつけられた。
鉄道が、稲穂の大海を一直線に切り開いて遥か地平へと進む。
旅人の目と足は、しばしその場に釘づけになってしまった。

その陸橋を渡ってしばらく行ったところで、国道7号線を離れて旧道を行く。
夜叉袋という地名のところに、八郎潟町の文化財に指定された諏訪神社というのがあった。
与謝蕪村がこの地に泊った時の句碑とその説明板がある。

  涼しさに麦を月夜の卯兵衛かな

境内に入り鬱蒼と茂るイチョウの木の下で腰を下ろす。
そしてあたりを見渡すと芭蕉翁と書いた石碑もある。
この時は分からなかったが、芭蕉も次の句を残しているそうだ。

  月いづこ鐘は沈める海の底

八郎潟町の中心市街地でコンビニを見つけ、昼食に焼肉弁当を買う。
店の前のタタキにシートを敷いて腰を下ろし弁当を食べる。
JR八郎潟駅はそこから直ぐで、今日の宿は駅の広場につながる道路脇にあった。
宿に着いた時は、まだ午後1時前だけれど、女将さんは直ぐ部屋へ案内してくれた。
そして、洗濯機や物干し台を自由に使っても良いと優しい心遣いをしてくれる。
お陰で普段なかなか洗濯できないズボンも洗濯して干すことができた。
そうしたやさしい心配りは、旅館の隅々で感じさせてくれる気持ちの良い宿だ。
後方支援物資も無事に届いており、中から頼んでいた新しいウオーキングシューズが出てきた。


次の朝、これまではいた靴や所々で得たパンフレット類等を宅急便で自宅に送る。
その手続きで出発が遅れてしまう。
新しい靴の紐をしっかり結んで出発する時、旅館のご夫婦が温かく見送ってくれた。
特にこれという訳ではないけれど、なんとも云えぬ良い気分が残る宿だ。

天気は良く、やや蒸し暑い。
街並みが続いて、休憩場所は見つけ易かったけれど、新鮮な驚きや珍しい風景もない。
そんな単調な気分の時、おやっと思う建物が目に入る。
JR奥羽本線井川さくら駅だった。
都会でない地方の駅舎にしては、新しい現代的な建物でチョッと珍しい。
井川町には、200種・2000本の桜、バラとツツジの花木園等で知られる「日本国花苑」があるという。
この駅は、観光客を町の目玉施設に迎える玄関口として期待されているのだ、と思う。

さらに道を南に下ると、稲の刈り入れ風景に出会う。
稲を刈り取る風景は、自宅周辺でも見られたはずなのに、もう何年も見てなかった気がする。
いつの間にか、小規模農家もこうした機械化が進んでいたのだと知る。
農家の高齢化が叫ばれて久しいが、機械化でかろうじて日本の農家は支えられているのだろうか。

そんなことを考えながら、フト脇をみると美しい花が目にとまる。
野生の昼顔?というのか、そのピンクの色合いがなんとも美しい。
数日前にも同じように感動したことがあったけれど、自然が生み出す色あいの見事さに驚くばかりだ。

今日の宿は、秋田市の北部にある奥羽本線上飯島駅と土崎駅の中間あたりあった。
近くに火力発電所等もある秋田港を控え、長期滞在客の多いビジネスホテルのようだ。
アパートの様な造りの建物で、部屋は清潔で広くバス、トイレ付だ。
浴室は別に共用の広いのもあって、そちらを使う。


翌日は大雨と雷注意報が出て、迷わずここに連泊することに。
このところ足腰の疲れが、朝晩と休憩時にストレッチをしてもとれない。
それで、今日は完全休養日と決め込む。
朝食後、新聞やコミック本「ゴルゴ13」を読んだ後、ベッドに入ったら直ぐに眠ってしまった。
昼時になって、近くのスーパーに何か食べ物を買いに行こうと思ったが、すごい大雨で止むのを待って出かける。
パン、牛乳、リンゴ、トマトを買って部屋で食べる。
午後もベッドインすると、またぐっすり眠った。



Back

Top

Next