No80 津軽・出羽 編(由利本荘市肴町〜山形県遊佐町)

今日は象潟町まで28kmの旅になる。
朝起きた時、股関節が硬く少し不安になった。
いつもの真向法体操を3回しても効かず、5回やってようやくほぐれた。
それでホッとして、ホテルのレストランで朝食をとる。
朝食は和食だったので、しっかりご飯をお代わりする。

天気は、今日も良い天気だ。
ホテルを出て歩き始めると、まちはこれまで感じたことがない雰囲気だ。
ホテル近くの医院が、大正から昭和初期に流行った当時モダンな建物だったり。
町中の寺の山門は、堂々として寺やこの町の歴史を感じさせる。
わたしの生まれ故郷名古屋の寺を想い出したりもする、からなのだろうか。
いずれにしろ、このまちには古き良き時代の落ち着いた雰囲気が残っている。

今日の旅の友は、何と云っても鳥海山である。
秋田県と山形県にまたがる標高2236mの活火山だ。
その雄大な山容はとても魅力的だ。
道の方向が変わるたびに、前方に見えたり、左横や左後方に見えたりしておもしろい。
休憩の度毎に、この鳥海山を仰ぎ見ながら真向法体操をして足腰をほぐす。

道の駅「象潟」に着いたのは、夕方5時頃だった。
前方に日本海、後方に鳥海山を眺める絶景の地だ。
道の駅の日本海側には、広大な芝生広場が整備されている。
そこに出ると、夕陽が傾き始めて多くの人影が漂う。
夕陽や海を眺める人、子犬と散歩する人、孫と戯れるおばあちゃん等々、みんな楽しそうだ。
旅人も、そんな風景を眺めてしばし疲れを癒やす。
いつまでも眺めていたい心境だけれど、宿はまだ先なので重い腰を上げる。

今日の宿はJR羽越本線象潟駅近くで、道の駅から意外と近かった。
建物は比較的新しい様だけれど、それなりの伝統を引き継いだ感じの旅館だった。
部屋は掛け軸や大きな陶器等で飾られた床の間付きの純日本間である。
部屋に運ばれてきた夕餉を、ゆっくり美味しくいただく。


次の日の朝も、起きると股関節が硬かった。
いつもの真向法体操をしても、十分にはほぐれない。
それでも今日の旅は、山形県遊佐町まで20kmと短いので、気を奮い起して発つ。

天気も良く、気温も上がらず身体は楽なはずだが、足取りは重かった。
1時間以上歩いてやっと4kmのスピードだ。
おまけに、左足の小指にマメができ痛かった。
何故、今頃にマメかと思う。
疲れて歩き方が変わってきたのか。
それとも、全く同じ靴だけれど新調したせいか。
山形県に入る手前に三崎公園というところがある。
そこにドライブインがあり、昼少し前だけれど昼食をとることにする。
カツカレーを食べて元気が出て、近くの案内板をじっくり読んでみる。
この公園には、あの松尾芭蕉が遊佐町の吹浦から象潟に向かった時の道が残っているという。
さっそく行ってみると、まさに「奥の細道」で地形に沿った険しい道だ。
自分の体験と重ねて、芭蕉翁の苦労に想いを馳せる。

山形県に入ってすぐに女鹿というところで道が分かれる。
ここから西浜までは、国道7号を離れて海沿いの国道345号を行く。
この道は、日本海の荒波によって削り取られた崖沿いを行く。
歩道は海側に付け足したような道だけれど、車を気にせず歩けるのでよかった。
この地域も冬の風雪が厳しいのか、家屋周りに木柵をめぐらしているのが目立つ。

途中に湯の田温泉というところで休憩する。
道路脇の駐車場の様なところにシートを敷いて腰を下ろす。
温泉地だと云うのに、時期が悪かったのか、人の気配がない。
降ろしたバッグと二人?、急にさびしい気分になる。
そのツーショットを後ろから撮ってみた。

そこから十六羅漢岩の名勝地を巡って、再び国道7号に出る。
その先に道の駅「鳥海」があり、そこから今日の宿に電話をする。
宿は近くだそうで、ご主人が国道まで迎えに来てくれた。


次の日は、ここ遊佐町西浜の宿に連泊して休養をとることにした。

そうとう足腰に疲労が溜まって、遊佐町で休養をとりたいと思った。
ただ宿の環境が休養に適さない場合は、次の酒田市の宿にすることも考えた。
西浜海浜の宿は、建物が古いが木々に囲まれた静かなところだ。
部屋は小さな池のある庭に面して落ち着けそうでもある。
そして何よりも、宿のご主人は温かい人でいろいろ気づかってくれ洗濯までしてくれた。
そんな訳で、ここで連泊することにした。

昨夜は土砂降りの雨だった。
それでも、良く眠り目覚めたのは6時40分だった。
いつもより40分遅い。
朝食は7時にお願いしていたが、ご主人に連泊のお願いをし食事も8時に遅らせてもらう。
午前中は部屋でゴロゴロする旅人を、珍しがって子猫たちが庭先にやって来る。
昼になって、近くの道の駅に行って山菜そばを食べる。
この日は「敬老の日」の祭日で沢山の人で混雑していた。
帰ろうかなと思った時、重そうなバッグを背負って歩いて行く若者とすれ違った。
もしかしたら、彼も歩く旅をしているかもと、追いかけたが早くも国道の方へ行くので諦めた。

宿に帰ると、ご主人が3時のおやつといっておはぎ2個を持ってきてくれた。
午前10時の時も、梨をむいて出してくれた。
夕食の時、部屋でご主人の手料理を堪能していたらその本人がやってきた。
手に瓶ビール1本ぶら下げて一緒に飲もうという。
昨夜も夕食の時にご主人が2本目のビールを持って現れた。
わたしは、てっきり追加のビールを持って来てくれたと思って断ってしまった。
ご主人は、一緒に飲むつもりだったという。
早とちりを謝り、二人でビールを飲み交わす。
ご主人は、わたしの徒歩の旅に大変興味を示し励ましてくれた。
そしてまた、この宿に泊ってくれてありがとう、と何度も言ってくれた。
さらに缶ビールを持って来てくれて、楽しい歓談が続いた。



Back

Top

Next