No84 越前・中・後 編(胎内市本町〜新潟市弁天)


胎内市の朝、起きると雨あがりの晴天となる。
しかし、昨日より気温が上がり、身体がやや重い。
今日は、胎内市本町から聖籠町蓮野まで約20kmの旅。
ここからは、日本海沿いの国道113号とJR羽越本線に沿う国道7号の間を並行する旧街道を歩むことにする。
宿を出て羽越本線を横断して東へ向かうと、広い水田地帯になった。
空には巨大な白い雲が幾つも浮かび、その影が刈り終えた水田を舐めるように走る。

この風景を撮った後、画像データがいっぱいになりCFカードを取り替える。
ところが後述するように誤操作で、この後から翌日に撮った全画像を失ってしまう。

やがて、惣持寺という大きな寺院があり、その前の郵便局で旅費の補充をする。
その先の築地交差点を南に向かうと、そこからはむかしからの街道筋になった。
この街道は、民家の街並みが続き生活感があって楽しいけれど歩道がない。
その上、ダンプの交通が結構あり、それに気を使ったり、側溝蓋に足をとられそうになったりと歩きづらかった。
そのせいか、次第に休憩の間隔が短くなる。

今日は早く宿に着いて、昨日の分と一緒に洗濯したいと思った。
宿への道順が分かりづらく迷ったこともあり、到着が予定したより遅れる。
今日の宿は、電話帳ではビジネス旅館とあった。
しかし、部屋は洋室でウッディなレストラン併設のホテルと云った造りだ。
部屋に荷物を下ろすと直ぐに宿の洗濯機を借りる。
洗濯物を干せたのは、午後4時半頃となり、明日の朝までに乾くか心配だった。

宿のご主人に風呂が沸いたと云われ、浴室に行って驚いた。
木の香りが漂う浴室にある浴槽は、ナント五右衛門風呂だ。
人ひとり位が入れる鉄釜に木蓋の様なものが浮いている。
子供の頃、親父と一緒によく入った、懐かしいシロモノだ。
木蓋の上にそーと身体を載せ、木蓋がひっくり返らない様に身を沈める。
こんな小さな風呂釜に、親父と一緒にどう身を沈めたのだろうか。
じわーと温まる湯の中で、チョピリ懐古気分に浸る。


次の日も天気は晴れ。
心配した洗濯物はほぼ乾いていた。
身体が少し重いので、余程、ここ聖籠町の宿に連泊しようかと思った。
しかし次の目的地は新潟市、そこで連泊し、市内見物も兼ねて休養をとった方が良いと思い直す。
出発前に、宿のご主人手造りの五右衛門風呂やご本人を撮影させてもらう。(ああ、それなのに)
歩き始めると、空気が案外カラッとしており元気な足取りだ。
意外と疲れもなく、むしろいつもより快調だ。
ほぼ1時間歩くと20分休む、のピッチで進む。
とりわけ、新潟市内に入る手前の阿賀野川を渡る時は、車道橋とは別に歩道橋があり歩くのに安全で楽だ。
川風が涼しく気持ちよかった。

今日の宿は、JR新潟駅から徒歩5分程のホテルだ。
部屋もまずまずなので、連泊することにする。
夕方、食事も兼ねて街に出る。
まず駅ビル内のヨドバシカメラでレンズクリーニングペーパーを買う。
それから居酒屋の暖簾をくぐる。
かしら、レバー等のヤキトリ、枝豆それに生ビール2杯を飲む。
いい気分で店を出ると、秋風が心地よい。

まだ何か物足りなくて、ラーメン店に入る。
新潟ラーメンと日本酒1本を注文する。
店の主人もカメラ好きとかで、わたしの持つカメラを目ざとく見つけて話しかけてきた。
お腹が温まり酔いも回って益々いい気分に。
そこでご主人のポートレイトを撮らせてもらい、カメラの電源を切る。
すると、エラーの表示。
それまで撮った全画像が消えてしまった。
シャターボタンを押して直ぐに電源を切ったせいか。
旅を始める前、初めてデジタルカメラを買い練習した時、2,3度こんなことがあり気を付けていたのだが。
ガックリ、酔いもいっぺんに吹っ飛んでしまう。

上記2枚の写真は、翌々日の朝に撮ったもの。
夜は魅惑的に見えた店が、夜が明けた朝はそっけない顔だ。


次の日も秋晴れの快晴だった。
こんな好天の日に休養はモッタイナイ、と思う。
そんなはやる気持ちを抑えて、予定通り連泊し休養をとることに。
涼しくなって、身体全体としてはかなり疲れはとれている気がする。
しかし、部分的に疲労が蓄積し歩いていると、時にキューと痛みを発するところがある。
それも、骨にこたえる痛み方だったりする。
経験したことがないので分からないけれど、いわゆる疲労骨折が起きやすい状況かも、と思う。
これからも、緊張感とリラックスのバランスをとりながら最終目的地にたどり着きたいと願う。

それで、いつもの様に午前6時に起きて体操をし、朝食はホテルでとる。
休養日の定番通り、朝風呂に入ってひと眠りする。
昼頃に昼食も兼ねて街の散策に出る。
大都市新潟なので食事処は、いろんな店がイッパイある。
何を食べようかと迷いながら歩き、結局、ドトールコーヒー店でミラノサンドAセットにする。
パン食に少し飢えていたのか、とても美味しかった。

東方向から来た国道7号線は、JR新潟駅前で直角に北へ海側に回る。
これが新潟市街地の真ん中を貫き、まちの中軸を担う大通りになっている。
その大通りをぶらぶら歩いて、大河信濃川に架かる萬代橋を渡る。
いちだんと賑やかなまちになり、大通りを串刺すように左右にモール街が顔を見せる。

その先にある、旧奉行所跡に建てられたと云う「NEXT21」と呼ばれる所に行ってみる。
21階建てのビルで、19階に無料の展望ロビーがある。
そこからの新潟市街地や日本海の眺めが、素晴らしかった。
歩いて来たはるか北方を眺めると、言葉にできない感慨がわく。

大通りの所々に、史跡の説明盤が設置されていた。
これを読むと、まちの発展の歴史が、一般の人にも分かりやすく興味深かった。
しかし、街の印象はいまいち新潟らしさとか先進性が感じられないのが淋しい。
宿に帰って、ベットに寝転んでフト思った。
そんな物足りなさは、今日は水曜日で新潟美人の休日だったのでは?、そのせいかもと。



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