No37 「一期一会」 出会い編W

歩いて旅をしていると、オートバイでツーリングしている人達とよく出会った。 それは、一人であったり、友人等の二人であったり又は大勢の仲間でとさまざまである。 多くの場合、彼らは歩く私にクラクションを鳴らしたり、手を振って励ましてくれた。 そんなバイク野郎と同宿になることも度々で、数々の思い出がある。。
なかでも本州最北端の民宿で出会ったSさんは、生粋のバイク好きの印象だった。 最初は話しかけずらい感じがした。しかし夕食のときに、彼から写真のように気さくな笑顔で話しかけてくれた。 山形の板前さんだそうで、忙しい合間を中古のハーレーダビットソンを駆ってのツーリングを楽しんでいるとのことだった。 テントを張って野宿することも多いそうで、寒さに耐えてきた顔をしながらも、ハーレーの話をするときは本当にうれしそうだった。 思わず「ハレーの一番気に入っているのは何ですか」と尋ねたら、「ハレーは、直せる範囲で故障をよくしてくれるところだ」という。 思いがけない返答に一瞬とまどった。 しかしこれぞ、バイクキチ、メカキチの真髄と妙に納得し感動してしまった。

そんな話をしていたら、4人連れの客が食堂に入ってきた。 彼らは岩手県大船渡のバス運転手達で、やはりバイクでツーリングしているところだという。 大船渡の旅館では印象深い体験があったので、彼らとその宿の話をきっかけに賑やかな夕食となった。
そんなこともあって、Sさんの住所を聞くのをつい忘れてしまった。 おかげでその後、Sさんとは連絡がとれず、まさに「一期一会」となってしまった。
旅をしていて、ハーレーダビットソンの腹に響く独特の爆音を聞くたびに、Sさんを思い出したものだ。

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