日本の宿・戦後60年のそのとき

私は平成16年に60歳で定年退職した。翌年の平成17年は、日本も戦後60年と なる節目の年だった。それで、共に還暦を迎えた戦後60年の日本と自己を見 つめてみようと歩いて日本一周する旅をした。それは平成16年10月22日から 平成18年12月22日の間で、4回に分けて延べ日数410日、総歩行距離8436km の旅となった。
この旅でお世話になった宿は、実に408軒(重複含む)にのぼる。そのほとんど は電話帳等から探し当てながら任意に選んだ宿だ。宿といっても旅館、ホテル、 民宿、公共の宿等々いろいろあり、しかもそれぞれに思いもよらないさまざまな 形態があるのに驚かされた。
戦後60年の平成17年は、はじめて日本の人口が減少に転じた年でもある。車社 会や少子高齢社会が進行して、社会の構造が変化し日本の宿も存亡にかかわ る大きな変革の時期に直面しているというのが、この旅での実感である。

次回以降に、この体験に基づく日本の宿の実情を逐次に報告する。