公共の宿とは、国や地方公共団体が直接に設立・運営したり、厚生年金や国民年金等の公的な資金が導入され財団法人等が運営する宿泊施設である。
これから言うと、かんぽの宿、休暇村、ウエルサンピア、国民宿舎、ユースホステルも公共の宿である。
この章では、これら以外の地方公共団体が設立運営する宿泊施設を公共の宿として紹介する。
地方を旅すると、国の様々な補助金を活用して地方公共団体が設立運営する宿泊施設に出会う。
温泉浴場施設やレストラン・宴会場等も併設されて地域の交流や健康福祉施設にもなっているところが多い。
農漁村地域では、町村毎に1か所設けられているかのようである。
これは、北海道の小平町にある地域住民の交流を目的に設立運営されている施設である。
光明石温泉施設、レストラン、宴会場、宿泊施設等がある。
日本海の夕日を眺めながら、地元の海や山の食材を活かした料理に舌鼓を打つ、まさにゆったりした宿である。
名目はどうあれ、このような地域住民の交流の場でもある公共の宿が数多くある。
北海道山形町にある宿泊研修を目的に、南空知ふるさと市町村圏組合が運営する宿泊施設である。
温泉大浴場「山形温泉」やスポーツ合宿もできる「多目的アリーナ」も併設さている。
アレンジフラワーや押し花等の体験学習や農業の宿泊研修が名分になっているが、地元住民や周辺の人々の利用客で賑わっている。
山口県下関市豊浦町にある海浜環境活用施設である。ヨットハーバーにあって、海水浴、釣り等のマリンレジャーの拠点と言われている。
上記二つの宿泊施設に比べるとかなり質素で、ユースホステルに近い宿泊施設である。
歩く旅では、行程から脇道にそれて探すのに少し戸惑ったけれどこういう宿もあるかと教えられた宿泊施設である。
長崎県諫早市にある長崎県保健福祉センターである。
電話帳で公共の宿「ヘルシーパルいさはや」の電話番号を見つけて宿泊の予約をしたら、「宿泊料金は加入する健康保険によって異なる」
と言われ驚いた。
この施設は、政府管掌健康保険被保険者とその家族を中心として、地域住民の健康回復、疾病予防等を図るための宿泊保養施設だそうだ。
部屋は一般のホテルと変わらないけれど、建物内はスポーツなどの他の施設もあり、宿泊者以外の人たちの出入りが多く少し落ち着かない雰囲気だった。
まだ体験していないが、この他にも以下のような公共の宿がある。
1 厚生労働省が出資・設立し、(財)日本勤労福祉センターや地方自治体が運営している宿泊施設(ハイツ&いこいの村)
2 全国市町村職員共済組合連合会が設立・運営している宿泊施設
3 (財)日本船員厚生協会が設立・運営している宿泊施設
歩いて日本一周してみると、こうした公共の宿や道路、漁港施設等が津々浦々に整備され、やはり日本は経済大国なのだと実感する。 その一方で、少子高齢化の影響が顕著に表れはじめ、こうした施設が宝の持ち腐れになりかねない予感に襲われる。