日本の宿のチエックインは、午後2時と思い込んでいた。事実、いまでもその通りのところも多い。
ところが、日本一周徒歩の旅では、電話で宿泊の予約をするときに「チエックインは○○時以降にしてほしい」と言われることがよくある。
そんなとき早く宿に着いたときは、近くに駅の待合室や喫茶店があればそこで時間調整したものだ。
そういう時間は、見知らぬまちでぼんやりと過ごせるちょっと贅沢な時でもあった。
ところが、事前にチエックインの話もなく宿に着いてみると誰もいないことがある。
もちろん電話しても誰も出ない。
そんなところに限って、近くに喫茶店等の時間を潰せる場所がまったくないことが多い。
こういうときは、玄関に荷物を置いて周辺を歩き回るか、ひたすら玄関前で待つことになる。
そんな様子は、少子高齢化が進む地方の町では目立つようで、不審者に見られはしないかと落ち着かないものだ。
考えてみれば、地方の宿では宿泊客が毎日あるとは限らないのだ。
そういうたいていの宿は、女将さんが一人で宿の切り盛りをしている。
その女将さんも、家事や他の仕事と兼業で忙しく、外出することも多いのだと思う。
なかには、宿に電話すると自動的に女将さんの携帯電話につながって、女将さんが急いで外出先から帰ってくるということもあった。
また、ホテルについて誰もいないので、宿泊を予約した電話先に連絡すると携帯電話につながって、
フロントに置いてあるルームキーを持って部屋に入れと指示する横着なホテルもあった。