前章ⅠとⅡの様な普段の生活では見られない美しい風景に出合うのは、なんといっても旅の醍醐味のひとつである。 それらとは違って、何気ない窓辺の風景にもハッと惹きつけられることがある。 それはデジャービュ(既視感)というか懐かしい気分にさせられる。 非日常の旅を続けている旅人が、忘れていた日常に呼び戻される感情と云うのだろうか。 こんな風景に出合うと、しんみりと来し方を振り返ったりする。 これが「旅愁」と云うものか、とも思う。