今日は阿久根市新町まで約22kmの旅。
このところは、短めの旅が続く。
天気は、くもりがちの晴れと云った感じ。
宿を出て、昨日行った「武家屋敷群」への道を再び通って行く。
やはり南国のせいか、庭木はうっそうと生い茂っている。
そしてまた、濃いピンクと薄い紫色のアジサイが、みずみずしい色合いで咲き誇る。
高尾野町に入ると、年代を想わせる酒造所が足を止めさせる。
茶色がかった黒い板塀に同色の甕が並ぶ風景は、どこか薩摩らしさを感じパチリ。
肥薩おれんじ鉄道高尾野駅前の交差点を過ぎる。
小さな店が並ぶ道を進むと、小学生達が道路脇に座り込んでいる。
近ずくと、高尾野小学校の校門前で写生会をしているようだ。
カメラを向けると、みんな一斉にVサインで応えてくれた。
どこでも、明るく無邪気な子供達からは元気をもらえる。
さらに、野田町、阿久根市へと進むと、所々で小さな峠道になる。
上り坂では汗をかくけど、峠に達すると涼しい風があって心地よい。
阿久根市の中心市街地に入ると、予想外に元気のない印象だ。
水俣市でも似た印象だったけれど、それ以上に感じる。
それだけに、途中にあったパチンコ店がやけに景気良く思われた。
この旅で観るのは、どこでもパチンコ店の景気の良さだ。
平日と云うのに開店前から、若者達が大勢並んでいたりする。
いまや家庭の主婦までも夢中になり、いろんな悲劇がおきている。
パチンコ代で家計費を使い込んだりは、まだ軽い方だ。
駐車場の車の中に置いておかれた幼い子供が、熱中症で亡くなるとんでもない事件もある。
今日の宿は、国道3号沿いの肥薩おれんじ鉄道阿久根駅近くにあった。
女将さんは腰の曲がったおばあさんで、ナントか一人でやっている感じの宿だ。
宿に着いた時間は14時35分で、急いで洗濯機を借りて洗濯する。
すると、洗濯物は女将さんが洗濯干し場にかけて干してくれた。
ここは食事の出ない素泊まりの宿だった。
さいわい宿の前に「ほっかほっか弁当屋」があった。
夕食は、そのほっか弁と近くの酒屋で「きりん淡麗500ml缶」を買って部屋でとる。
たまには、こんな食事も悪くはない。
次の日、朝食は旅の途中でコンビニを見つけ、おにぎりでも買うつもりで宿を出る。
宿を出て15分位のところで、24時間営業のファミレス「ジョイフル」があった。
店内に入ると、朝食セット(499円)があり、それにする。
朝食は小一時間程かけてゆっくりとる。
昨日は宿に早めに到着し、疲れがとれたのか身体が軽い。
それと天気も曇りで涼しく快調に歩く。
今日は海岸沿いをおれんじ鉄道と並行する道だ。
時々、小さな漁港をのぞいて写真を撮りながら行く。
やがて鉄道と離れて上り坂の道になる。
右手前方に海岸の崖の上に、ひょろ長いヤシの木が立ち並んでいる。
そこにややおもちゃぽいデザインの建物があり、道の駅「阿久根」だった。
天気がよければ絶景の地と云う所だが、あいにくの天気で眺望がきかない。
まだ午前11時半で昼食には早く、もう少し先で食事処を見つけることにして発つ。
ところが、これがとんだ誤算だった。
はじめは、沿道のタコつぼが並ぶ民家を眺め、その生活を想像したりした。
それが、薩摩川内市域に入って鉄道の西方駅前に着いても食事処がなく焦り出す。
次の薩摩高城駅前にも食事ができそうな店がない。
時折り見かける食事処は、みな休業か廃業となっている。
あきらめて非常食の「カロリーメイト」でも食べようかと思った。
その時、遥か前方にコンビニ「サンクス」の看板が見える。
勇んで行き、サンドイッチとあんぱんそれに牛乳を買う。
こうしてやっと昼食にありつけた時は、もう午後2時過ぎになっていた。
国道3号の川内港入り口交差点で、右へ地方道を行く。
今日の宿は、川内川の河口にある港の近くと云うことだった。
その民宿は平屋の普通の民家で、小さな民宿の看板がなければ通り過ぎるところだった。
入口で声をかけると、ご主人と女将さんが温かく迎えてくれた。
部屋は、一般の民家で云うお座敷だ。
すぐにお風呂の用意をして、洗濯機も自由に使わせてもらう。
夕食はご夫婦と一緒で、サービスと云って缶ビールを差し出される。
あの石川文洋さんも泊られたそうで、そんなことを話題にして楽しい夕餉となった。
芸能人が田舎へ行って、普通の民家に泊めてもらう「田舎に泊ろう」というTV番組がある。
その芸能人が味わうアットホームな気分で眠りにつく。