日本一周てくてく紀行

No.127 九州 編(姶良市加治木町~曽於市財部町)

昨夜は、浄化槽の低周波音がうるさく良く眠れなかった。
それでも、意外と元気に出発する。
ホテルを出て直ぐに川を渡ると、国道10号は大きく左にカーブし上り坂になる。
左方を見下ろすと、加治木の市街地が拡がる。
そしてその背後に、山肌と山頂を削り取られたタンカ―の様な山容が迫る。
やがてJR日豊本線に沿う山道に入る。

日豊本線と離れ下り坂になると海が見えてきた。
また、錦江湾沿いの道になる。
今日の行程は、霧島市国分まで17km程の短い旅だ。
海沿いの道を1時間も歩かない内に、霧島市の市街地に入る。
平成17年11月に国分市他6町が合併し霧島市が誕生する前は、この辺りは「隼人町」だったと云う。
「薩摩隼人」の名で知られる質実剛健の気風が、この地には今も色濃く残るのだろうか。
そんなことを想うと、チョッと身が引き締まる。
隼人町の国道223号交差点に着いた時は、まだ午前10時頃。
この交差点から、国道223号で霧島市の中心市街地に入る。
沿道でコンビニを見つけ、牛乳等を買い休憩する。

コンビニを出て「見次」という交差点辺りは、大型商業施設等の新しい商業施設が建ち並んでいる。
その交差点を右に折れて霧島市役所方面に向かう。
この県道沿いにも、全国展開する商業店等が建ち並び、やけに活気がある。
それに、地元の老舗らしき店もガンバっている。
ここも原子力発電所で潤うまちかと思ったけれど、地図にはそれらしきものはない。
その代り、今をときめく企業の京セラやソニーの工場、それに第一工業大学、教育短大といったのがある。
企業は働く場所を提供し、教育施設は若者が集まり、まちの活況の源だ。
そうした施設をバランスよく誘致し、すばらしいまちづくりをしているように見える。

大きなホームセンターの近くに国分郵便局があり、ここで旅費を補充する。
「川跡」交差点で左折し、さらに北上する。
道沿いにファミレス「ジョイフル」があり、ピッタリ昼時で迷わず入る。
今日はナポリタンと野菜サラダにする。

今日の宿は、市街地の北隅のところにあった。
昼食休憩を1時間もとったけれど、宿には13時半頃に着いた。
宿は温泉センターに付属する宿泊施設で別棟になっている。
湯治場としても利用できる様な施設だ。
電話予約した時、1泊2食付で5千円を切る料金だと云う。
それでどんな施設かと、ちょっと心配だった。
温泉センターは天然温泉かけ流しの湯で、普通のお風呂屋さんと云った感じで地元の人達も大いに利用している。
食事は温泉センターの食堂でとることになっている。
夕食はまずまずのおいしさで、明日は休養日にして連泊することに。

次の日の朝は晴れて、降水確率はゼロの予報。
こんな良い日を休養日にしたのが、少し悔やまれる。
しかし、昨日はお腹の調子が悪かったり、唇に吹き出物が少し出た。
疲れが溜まり体調が悪いせいだと思う。
余計なことは考えず、今日はしっかり温泉に浸かって疲れをとることに専念する。

朝食は、いつもの通り7時にとる。
それから歯を磨いた後、11時頃まで寝る。
昼になって、昼食を兼ねて外出する。
ありがたいことに、近くに食事処はいろいろある。
そば店に入り、おろしそば(800円)を食べる。
これが結構おいしく、こんなことからも「まちの品度?の良さ」を感じたりする。
その後、昨日来る道で見た「カット900円」の店で散髪することに。
このところ、都会で流行り出した格安理容店だ。
元気な若者が出てきて、ハサミ裁きもエラク元気だ。
ヒゲ剃りも頼んだことが、少し不安になる。
すべてがコトなく終えた時は、ホッとした。
いつもより短めのカットにしたので、いっそうサッパリする。
床屋を出ると、気分一新の想いになって宿に帰る。

連泊した次の日は、残念ながら昼頃から雨の予報。
温泉に一日に3度も入って休養したお陰で身体が軽い。
心身ともリフレッシュした気分で出発。
今日は曽於市財部町まで27km程の旅。
県道2号の一本道でずーと山道になる。
早くも10時頃から雨が降り出す。
幸い大方は歩道があり、車を気にすることなく歩く。
宿を発って3時間程して、JR日豊本線を渡る。
その先のJR北永野田駅近くからは、日豊本線と並行する道になる。
沿道には所々お墓があり、そのどれにも屋根が架けられている。
この地の人々の先祖に対するアツイ想いが伝わって来る。

雨の中、淋しい山道が続く。
JR大隅大河原駅の先で、財部町の物産店があった。
丁度昼時で、中にうどん・そば店があり、山菜そばとおにぎり2個を注文する。
淋しい山道で、お昼時にピッタリ食事処が見つかるとは、ほんとにラッキ―だ。
そんな幸運もあって、雨の中、1時間毎に15分休憩をとるペースで順調に歩く。
雨の中で写真を撮る気分にならなかったのか、沿道に心動かされるものがなかったのか。
ほとんどカメラを取り出すことがなかったのが心残り。

今日の宿は、JR財部駅の前にあると云う。
その駅前に、14時55分に着いた。
JR財部駅は町の玄関口と云うべきところだが、ここも無人駅だった。
宿となる旅館は、まさしく駅のまん前にあった。
駅の待合室でひと呼吸して、旅館の玄関に入る。

夕食時は、寒かったので焼酎のお湯割りを注文した。
出てきたのは地元の芋焼酎でおいしく、イイ気分に酔っ払う。