日本一周てくてく紀行

No.50 北の大地編②(標茶町~弟子屈町川湯)

朝起きてテレビを点けると、今日は一日曇りで時々雨の予報を流している。
少し迷ったけれど、宿でおにぎり弁当を用意してもらい出発することに。

結果は大正解で、一日中曇りで少し霧雨がある程度のほど良い天気になった。
ほぼ毎時4kmのペースで歩く。
と、突然、前方に賑やかな色彩で帯状に広がるものが見えた。
近ずくと、赤、紫、しろと云った彩り豊かな草花がすごいボリュウムで群生している。
なにか夢の中にいるような感覚で写真におさめる。
単調なみどりの草原で、唯一心躍る一瞬だった。

それからまた、みどりの高原の道を黙々と歩く。
相変わらず足が張ったりするので、休むごとに足を揉み、身体をほぐす体操をする。
それでも歩く速度は落ちることはなく、宿には予定より早く16時前に着いた。
今日の宿は、弟子屈町の摩周温泉にある温泉民宿だ。
部屋で荷物を解くとすぐに温泉に浸かる。
お湯がゆっくりと身体に染みわたる。
夕食は、一品ごと食材を吟味したこだわり感のある美味しい料理だ。
おまけに、NTTの工事関係者だという同宿舎2名に宿のご夫婦も入って、楽しい会話の味付けが加わった。

次の日の天気予報では、一日曇りだという。
ところが、ずーと小雨が降り続く。
弟子屈町の市街地のはずれのコンビニで昼食用におにぎり2個を買う。
そこを過ぎると、沿道風景はみどりの農地と原野である。
人家も少なく、雨宿りして休むところがなくつらい。

唯一の幸運は、美留和農村公園というのがあり、そこにベンチ付きの東屋が見つかったことだ。
「農村公園」とは、はじめて聞く名称だ。
ゲートボールができる芝生地とこの東屋がメインの公園である。
昼少し前だけれど、休憩も兼ねて昼食のおにぎりをひろげる。

今日の宿は、弟子屈町川湯温泉にある。
JR釧網本線川湯温泉駅前に着いたが、温泉町はまだずーと先だという。
摩周国道391号から地方道52号に入ると、道はさらに淋しくなる。
そのうえ、硫黄の臭いがするちょっと異様な景観の道を一人とぼとぼ歩く。

今日も、宿は温泉民宿だ。
浴室は広く、硫黄分と塩分の強い湯だ。
夕食は、ワイン漬けしたシカ肉の焼肉料理がメインだった。
シカ肉は初めて食べたけれど、クセのない味で美味しかった。

この旅で泊まる旅館や民宿のテレビには、写真のような料金投入箱が付いている。
宿でテレビを観るのに、料金がかかった昭和時代のなごりである。
いまほとんどの宿は、無料で料金投入箱は使われることはない。
しかし、今日の宿の様にまだ有料のところもたまにある。
2時間100円であるが、運悪く100円しか持ち合わせがなく、観ている途中でテレビが切れてしまった。
いやはや、ナンとも、である。