日本一周てくてく紀行

No.23 ひたち・みちのく編(山田町~宮古市)

四十八坂海岸の朝は、気持ちよく目覚め朝食もおいしくいただいた。
宿を出るとき、女将さんは何度も頭を下げて見送ってくれた。

今日は、宮古市津軽石まで約24kmの旅だ。
トンネルはなさそうで、何かいい旅になりそうだ。

宿を出て国道45号を行くとすぐに、船越湾を見渡す素晴らしい展望台のあるところに出た。
まさに輝く海だった。
朝陽を浴びてキラキラ輝く海に、見惚れてしまった。
空には白い大きな雲が浮かび、海を囲む山々の緑もうつくしい。
この時の感動を、写真で十分に表現できない技術の未熟さを嘆くばかりだ。
いつまでもこの場所に留まっていたい気持ちだった。
そんな気持ちを抑えて先に進むと、山道になった。

途中、道の駅「ふれあいパーク山田」で小休止した。
やがてまた、養殖のブイが一面に浮かぶ、うつくしい海がみえた。
山田湾である。

山田湾にそそぐ織笠川の河口には、国道45号の織笠大橋が架かっている。
この橋から眺めると、丁度干潮で浮き出た砂地に大勢の人が出ていて壮観な眺めだった。
どうやら、貝などを採っているらしい。
橋の上は、風が強く吹き飛ばされそうになりながら、この風景をカメラにおさめた。
そのとき、後ろから声がかかって振り向くと、車で来た宿の女将さんだった。
これから、昨夜、めずらしいお客?が泊ったので、娘のところへ話に行くところだという。
そう言って、また私を見送ってくれた。

山田町の役場入口付近の店で、おにぎりセットと牛乳を買った。
そして近くの山田漁港の岸壁で、少し早い昼食をとった。

そこから魚賀波間神社を過ぎると長い上りの坂道になった。
山村風景となって、海沿いの風景に見慣れた目には新鮮だった。
東北の遅い春がようやくやって来て、水田の水がぬるむ頃と云った風情である。

今日の宿は、JR山田線の津軽石駅近くの赤前という所にある。
国道45号の津軽石交差点から東に約1km入ったところである。
少しわかりづらく、通りがかった子供たちに道を教わりながらたどり着いた。
普通の民家に近い造りの旅館で、ここでも女将さんがあたたく迎えてくれた。
洗濯機も気持ち良く使わせてくれて、洗濯干し場まで利用させてくれた。
宿泊料金は、今までで一番安いほうなのに、食事はおどろくほどゴウカだった。