日本一周てくてく紀行

No.125 九州 編(薩摩川内市港町~日置市伊集院町)

薩摩川内市の朝も、宿のご夫婦と一緒に食事する。
食後、ご夫婦のツーショットを撮る。
宿を発つ時は雨で、午後も雨の確立は40%の予報。
雨の中、川内川に沿って地方道を行く。
その地方道は「267入口」交差点で国道3号に接続する。
国道3号に進み、川内川を渡る。
雨は10時半頃には止み、川内川を渡る11時頃からは晴れてくる。

川内川から先は、華やいだ市街地になった。
特別人出が多い訳ではないけれど、市街地が明るくきれいに整備されている。
今までのまちにない活況が感じられる。
薩摩川内市には、火力発電所と原子力発電所がある。
原子力発電所は、3号炉の原子炉建設のアセス(環境影響評価)調査が始まったそうだ。
歩く旅で、街の雰囲気が周辺と比べて異様に元気なことに気付くことがある。
どうしてかなと、不思議に思う。
そういうまちには、たいてい原子力発電所がある。
原子力発電所の設置によって、地元自治体が潤う話は、こんなことからも分かる。

市街地の南にある九州新幹線とJR鹿児島本線両線の一体駅「川内駅」に寄ってみた。
肥薩おれんじ鉄道はここが終点で、ここから先は再びJR鹿児島本線になる。
駅舎は利用者に比べて豪華で巨大過ぎる印象だ。
そして駅周辺は、ビッグなホテルが建つ新市街地が形成されつつある。

隈之城というところで、旧い石橋が架かる細い水路に出会う。
水路に降りる石段もあり、かつては水路と一体の生活があったことが察せられる。
そんな旧い歴史遺産と対照的に、沿道は全国展開の店がにぎやかに立ち並ぶ。
そこから鹿児島本線の木場茶屋駅前を過ぎ、いちき串木野市域に入ると山道になる。
晴れて気温が上がり、冷たい飲み物が欲しくなり自販機を探す。
山道で行けども行けども、それが見つからない。
仕方なく道の脇に腰を下ろし汗をぬぐう。
すると、後ろからオロナミンCがにゅーと差し出されて驚く。
近くの整備工場を経営するHさんだった。
いかにも疲れきって歩いてくる旅人を観て、気遣ってくれたのだ。
いっとき、旅の話をした後に写真を撮らせてもらう。
そして、名刺を交換しあって、旅を終えたら写真を送る約束をする。

そこから坂道を下って、鹿児島本線串木野駅前に到る。
駅の前から、今日の宿「国民宿舎さのさ荘」に電話して道順を尋ねる。
その宿は、串木野の市街地を抜けた海辺にあるという。
疲れた身体には、その道は予想外に遠く感じられた。
ここの国民宿舎も、広い和室を一人で占められて快適だ。
お風呂の湯が温泉でないとがっかりするのは、欲張りと云うものだ。

次の日は、くもり時々晴れの予報。
今日は、日置市伊集院町まで19kmの旅。

一日の行程が短いと、つい気が緩む。
そうすると、かえって疲れが出るのか休みが多くなる。
鹿児島本線東市来駅の待合室で、今日3度目の休憩をとる。
ここも駅舎の管理は、地元自治体に委ねられている。
その管理状態をみると、地元の人達の鉄道への想いが分かる気がする。
待合室は、きれいで涼しい風が吹き抜けて気持ち良い。
お陰で元気が出て歩き始めると、間もなく食事処が見えた。
ちょうどお昼で、休憩したばかりだけれど店内に入る。
みそラーメンとライスを注文する。

国道3号はJR東市来駅の先で、それまで並行していたJR鹿児島本線と離れて行く。
美山入口交差点のところで、鹿児島本線と並行する地方道に進む。
地方道はまるでインターチェンジの様な立体道路で、国道を跨いで行く。
しばらく行くと、「美山陶芸の里」と云う所に到る。
薩摩焼の有名な陶芸家達の里で、ゆっくり観て廻りたい気がする。
しかし、早くもバテ気味でそんな元気が出ない。
薩摩焼の大家沈壽官氏の屋敷門を撮影するのがやっとで出発。
それからは、薩摩の田舎道といった風情を楽しみながら歩く。
伊衆院町の市街地になって、欄干に石灯籠を据えた橋を渡る。
すると直ぐに、兜姿の騎馬武者像が見える。
そこはJR伊集院駅前で、騎馬像は島津義弘公の名版が取り付けられていた。
今日の宿は伊集院駅の近くと云われたが、どこだか見つからない。
ようやく駅前広場から離れた低い場所にその旅館の看板が見つかる。

行ってみると、結構大きなビジネス旅館だ。
まだ15時前だけれど、すぐに部屋に案内される。
和室の畳の上に寝転んだら、ひと眠りしてしまう。
宿は夕食がないと云うので、風呂に入ってから街に出かける。
駅前に居酒屋風の定食屋があり入る。
定食を注文すると、別にいろんな一品料理を皿に盛って食べられるサービスがあると云う。
黒豚トンカツ定食と生ビールを頼み、一品料理を皿に盛り肴にする。
さらに、イモ焼酎のお湯割りが一合百円というので追加する。
どれも美味しく、イイ気分で店を出る。