今日の天気は、曇り後晴れの予報。
いよいよ今日は、宮崎県に入って都城市高城町まで21kmの旅。
財部町の宿を出て県道2号は、相変わらず淋しい道だ。
宮崎県境を超え、日豊本線五十市駅の手前で猫と目があった。
背筋を伸ばしてしっかり見つめ、チョッと元気のない旅人を励ましてくれてるようだ。
日豊本線を渡り西都城駅近くで、霧島市で分かれた国道10号に合流する。
そこからは、国道の歩道にアーケードが取り付けられ「3番街」と名のつく商店街を通って行く。
ただ残念なことに、ここも特徴のない街並み景観だ。
そんな想いのまま、市街地を過ぎ沖水川を渡る。
遥か西方に霧島連山が見える郊外風景になる。
それも束の間、今度は全国どこでも見られるお馴染みの店舗が並ぶ。
国内の郊外の沿道景観が、ここまで均一化してイイのだろうか。
そんなことを想いながら歩いて、道の駅「都城」前になる。
お昼には少し早いけれどここで昼食にし、焼肉定食(880円)で元気づける。
午前中は曇りで湿気もあったが、午後はカラッと晴れた。
するとグングン気温が上がり汗ばんでくる。
高城町桜木の交差点のところにコンビニがあり、その駐車場で休憩をとる。
腰を下ろした道の反対側にガソリンスタンドが見える。
その佇まいに妙に惹かれ、カメラを向けてシャターを押す。
そこから国道10号を離れて、高城の町中に進む。
すると、小さな城が見える。
近くへ行ってみると、「月山日和城跡」にある三階建ての天守閣だった。
郷土資料館になっていて、入館料210円で中に入る。
受付の女性に、歩いて日本一周していると話したら、大いに興味と感心さを示してくれた。
そして、コーヒーにお茶とお菓子まで出してもてなしてくれる。
勧められるままに三階の展望階へ行くと、素晴らしい展望が眼に飛び込んできた。
霧島盆地が一望できる絶景だ。
しかも、涼しい風が身体に沁みて心地よい。
展望階をゆっくりと一周しながら、景色と心地よい風に心身共に癒される。
それから、「古代とロマンの里」とうたう高城町の展示資料を興味深く見る。
月山日和城跡から、今日の宿は1km程先だった。
宿のご主人やお手伝いの女性は、何かと気を使ってくれる。
洗濯機や洗濯物を干す乾燥室も快く使わせてくれた。
そんなさ中、郷土資料館の女性が忘れものと云って紙袋を届けてくれた。
中にはつくば名の入った私のタオルと、新品のタオルが入っていた。
紙袋の裏には、タオルの忘れ物です。お客様のモノと思います。
「高城のタオル」もよろしかったらどうぞお使いください、と書いてある。
重ね重ねのご厚意に恐縮すると共に、十分なお礼も言えなかったことが悔やまれた。
次の日は一日曇りの予報。
今日の旅は、宮崎市田野町まで約21kmの距離。
宿を発って田舎道を行くと、田植えシーズンを迎えた山間の農村風景が拡がる。
通りがかった真新しい農耕機にカメラを向けると、誇らしげな笑顔が返ってきた。
約2km程進み麓小学校の先で、日豊本線を渡ってすぐに国道269号につながる。
その国道269号は、直ぐに日豊本線と離れて谷間の道になる。
天気もパラパラと小雨になる。
雨具無しでビニール傘だけで歩けるのは、案外身体が楽だ。
淋しい谷間の道をトボトボ行くと、道の駅「山之口」があった。
ここの自動販売機が並ぶコーナーで最初の休憩をとる。
近くの農家の子供だろうか、おばあちゃんとお母さんにおんぶされて何か買いにきた。
そんな光景をぼんやり眺めていたら、思いのほか時間が経ってしまった。
腰をあげて出発すると、やがて谷間の道から渓谷の道になる。
雨も本降りになって心細い道に、突然、渓谷を渡る鉄橋が見えた。
日豊本線で、案内標識からJR青井岳駅は近くの様だ。
鉄橋をくぐると、その先に立派な和風建物と広い駐車場が見える。
近ずくと青井岳自然公園の中の温泉施設の様だ。
雨の中、駐車場には結構な数の車が駐車している。
何か温かいものを売ってないか探すけど見当たらない。
仕方なく建物の軒下で、雨宿りを兼ねた休憩をとる。
そこを発ってからも、食事処か休憩所の様な場所がないか探しながら歩く。
ようやく見つけたのは、店構えが無料休憩所と云った感じの食事処だった。
そこは、鯉かウナギの数種類のメニューしかなく、うな丼を注文する。
出てきたうな丼は、今までに食べたこともないシロモノでまいった。
値段が千円のうな丼とはいえ、いつもは食欲旺盛な旅人が食べ残す始末。
そんな山間の旅で、今日の宿がある日豊本線田野駅前に着いた時は14時だった。
電話で宿泊予約した時、到着予定を聞かれ15時か16時と伝えた。
それでJR田野駅で時間待ちすることに。
駅舎は木造平屋建てで、昭和の時代、大抵の鉄道駅はこんなスタイルだった。
そんな懐かしい気持ちで、待合室やホームの連絡橋から列車の乗降風景を写真に収める。
田野駅で30分程時間を費やして、駅から100m程離れた宿に着く。
玄関は鍵がかかっていて入れない。
携帯電話から電話しても留守電になっている。
周囲を見渡しても喫茶店等はなさそうだ。
玄関前のブロックに腰を下ろして、本を読んだりして待つ。
1時間半ほどして、ようやく女将さんが車で帰ってきたのは16時10分だった。
部屋はキレイで、トイレは板張りの小部屋程の広さがあり気持ち良い空間だった。