今日の旅は、中札内村から幕別町幕別温泉まで約30kmの行程だ。
昨日も32kmで、ロングな旅が続く。
昨日のように宿に到着するのが午後6時以降だと、何かと慌ただしいことになる。
それで出発を早めようとしたが、旅のペースを変えるのは難しく、結局いつもと同じ8時半になってしまった。
幸い今日の最高気温は25℃と昨日よりもかなり低い予報だ。
昨日の反省から、今日は余りのんびりしないで、ドンドン歩くことにした。
沿道風景は、麦などの穀物や野菜畑と云った畑地が目につく。
さすがに北海道は農地が広く、作業の機械化が進んでいる。
こうなると、農家の人は、作物の知識だけでなく大型農機具等の運転技術や修理技術も必要になる。
また、小規模農家と違って、経営的な知識も必要ではないだろうか。
むかし学校で習った労働集約型産業の典型としての農業イメージとは大分違うようだ。
しばらく行くと、「幸福駅」と書いた道路標識が眼にとまった。
この駅の名前は、昭和の一時期、テレビコマーシャルでよく見かけた記憶があった。
たしか、愛国駅から幸福駅までの切符が大人気で全国的なブームにもなった。
そんなことを思い出して、愛国駅に寄ってみた。
この駅舎のある旧国鉄広尾線(帯広~広尾間、84km)は、昭和62年に廃線になった。
この愛国駅も幸福駅とも、旧駅舎を残して記念館になっていた。
駅の線路用地には、機関車が置かれたり、東屋のある小公園にもなっている。
その東屋で、コンビニで買ったサンドイッチとおにぎりで昼食を済ませた。
その間、駅に訪れた人は数人である。
かつては、賑やかだったであろう駅前通りは、その面影を僅かばかり残すのみだ。
そんな思い出に浸れたのも束の間で、午後になると右腰痛に悩まされることになった。
腰痛が出ると、歩みを緩めたり、休んでストレッチをしたりすることが多くなる。
こうなると、写真など撮る気にもならない。
おまけに幕別温泉への道は、国道から離れて案内標識が少なく、人に尋ねても目印となるものがなく分かりずらい。
何となく不安げに歩いていると、空の雲行きも怪しくなってきた。
宿に着く1時間前から、雨がポツリポツリと降って来た。
それで、腰の痛さも忘れて道を急いだことで、予定より早く5時前に宿に着いた。
宿に着いた途端、強い雨になり、間一髪と云ったところだった。
宿は立派な温泉ホテルで、この旅ではちょっと贅沢な部類になる。
広い和室の部屋、温泉そして食事と、どれも旅の疲れをいやすのに十二分だった。
次の日は雨が上がるのを待って、いつもより1時間程遅い9時20分に宿を発つ。
今日も豊頃町まで30kmのロングな旅だ。
昨日の腰痛の発生が心配だが、最高気温は22℃という予報が勇気づけてくれる。
幕別温泉のある山を下ると、札内というまちになり、懐かしい鉄道に出会う。
様似町で日高本線に別れを告げた後は、旅の友「鉄道」のいない一人旅になってしまった。
今度の友はJR根室本線である。
函館本線と同じような特急列車がやってくると、やあ久し振りと声をかけたくなる。
しかし、幕別駅の先で線路を横断すると、鉄道とは遠く離れた道になった。
十勝国道と呼ばれる、十勝川と並行する20km程もある直線の一本道だ。
休むところと云えば、シートがひろげられる歩道上か、バス停で停車帯があって腰掛けるのに丁度よい歩道の縁石である。
そこで腰痛が出ないように、休む度に足を揉んだりストレッチを入念にする。
その効果か、一度腰にギクッときたことがあったが、それだけで済んだ。
十勝国道の沿道は、なだらかな丘陵地にみどり豊かな農地が広がる。
ときおり農家の赤い屋根が彩りを添えて、イタリアのトスカーナ地方のようだ。
トスカーナはワインの産地で、日本でもこの地方で産出される十勝ワインは有名である。
左記の写真は、国道からそのワイン産地で名高い池田町方面を望んだものだ。
今日の宿は、豊頃町茂岩と云う所にあるホテルだ。
オートキャンプ場もある高台にあって、この最後ののぼり道がきつかった。
それでも、ホテルには18時前に着くことができた。