今日は中頓別から、オホーツクの海に面するまち浜頓別まで21kmの旅だ。
朝の天気はくもりで、予報では15時ごろから雨が降るという。
今日も宿で昼食用におにぎり弁当を用意してもらう。
雨が降る前に、浜頓別のまちに着きたいと急いで出発する。
さいわい体調も良く、4km毎に15分程の休憩をとる、のペースで順調に進む。
下頓別と云うところに立派なバス待合室がありそこで休憩する。
きっと、ここもかつては旧国鉄天北線の駅跡ではないかと思う。
室内は広く、横になって休めるスペースもある。
自転車やオートバイで北海道を旅する若者が、ここで一夜を過ごすことも多いのではないか。
室内の壁には、保育所の園児が描いた絵が何枚か飾られている。
小頓別の人達にとって、バス待合室は地域の玄関となる大切な「駅」なのだ。
昼になって、道端に平らなスペースが見つかり、そこで弁当をひろげた。
ところが、後ろを振り向くと何やら看板がある。
近寄って見ると、「注意 熊出没」とある。
急に落ち着かなくなったが、ここはひとつ記念写真をとばかりに一枚撮る。
左記の写真がそれで、やはりおにぎりがのどを通らないといった顔つきだ。
途中、雨が少しパラパラとしたが、浜頓別のホテルには予定通り13時半頃に着いた。
このホテルの風呂は、天然温泉だというのでさっそく湯に浸かることに。
頼んでいた妻からの支援物資(CDR、下着他)も無事ホテルに届いていた。
逆に、明日からは30km前後のロングな旅が続くので、衣類などを少し整理して自宅に送ることにした。
浜頓別の朝は、くもりで少し風もあって歩くのに丁度良さそうだ。
ホテルで、このところ定番のおにぎり弁当を用意してもらい出発する。
途中、自転車で旅する人が後ろからやって来て、立ち話することになった。
オーストラリアに16年在住する小西さんと云う男性だ。
3ヶ月の休暇をとって、自転車で日本を廻っているという。
わたしの名刺を渡し、彼の住所もメモしてもらい、互いに励まし合って別れた。
後日談
せっかく小西さんの住所を教えてもらいながら、連絡をしそびれてしまっていた。
それが、お会いしてから3年後の2008年12月に、小西さんから突然メールが届いた。
小西さんは偶然にわたしのサイト「日本一周徒歩の旅 旅便り」編を見つけたそうだ。
そして、この日の記事をみて驚き、すぐにメールして頂いたとのことだ。
さらに翌年の1月、日本に帰国された折に、わざわざわたしのところへ会いに来て下さった。
感激の再会でした。
小西さんありがとうございました。
またいつかお会いすることを楽しみにしています。
猿払村に入り、昼に近付くにつれ気温があがって、徐々に疲れが出始めた。
そんな時、突然に森の中の高級リゾートホテルかと思うような建物が眼に入る。
近ずくと、門に「浅茅野中学校」(現在は小学校)の表札が掲げられていた。
この立派な校舎を眺めていると、ここに学ぶ子供たちに地域の未来を託す村民の熱い気持ちが伝わって来る。
浅茅野の集落で昼食をとることにする。
軒下でおにぎり弁当をひろげていると、道路の反対側に犬小屋があり中の犬と目があった。
不審そうにこちらを眺めて、いつ吠えだすかとヒヤヒヤする。
犬は小屋から出て、時々こちらを眺めても結局吠えなかった。
浜頓別町には、コハクチョウ等の渡り鳥で有名なクッチャロ湖がある。
猿払村も浅茅野台地を過ぎると、幾つもの川や沼に出会う。
また、オホーツクからの風を受けて、巨大な発電用風車が建ち並ぶのも見える。
それがいつしか見渡す限り緑の草原、と云った場所にいたる。
しばらく行くと、道の駅「さるふつ公園」があって近くの案内板によると、この草原は猿払村営牧場だという。
面積は495ha、飼養頭数1500頭とも書かれていた。
今日の宿は、猿払村浜鬼志別という浜辺近くにあった。
行程32kmの長旅で、さすがに疲れた。
宿に着くとさっそく風呂に入り、有料(200円)の洗濯機で汗まみれの衣類を洗濯する。
ひと息ついて、ぼんやり部屋の窓から海辺を眺める。
家々が海に立ち向かうかのように並んでいる。
たしかに、ここはまぎれもないオホーツクのまちだ。