土佐の東部地方に入ると集落景観に大きく二つの特徴がある事に気付きます。そのひとつは、「石ぐろ」と呼ばれている石の塀です。河原や浜の石を、下段は大きいので、上段は小さいので積み上げた美しい石塀です。もうひとつは「水切瓦」と言って、白い壁にひさしのように瓦が何列も並び縁飾りのように美しいものです。雨水が壁を伝わって白い壁を汚さないためです。今までに会った何人かのお遍路さんが、「室戸市吉良川町の旧い街並みをぜひ観たら良いですよ」とすすめてくれました。今日は、その楽しみにしてた町に寄る事ができました。旧土佐街道沿いにあるこの町は、明治から昭和初期にかけて吉良川の主要産品である木炭と薪の集積地として繁栄し、伝統的建造物の多くがこの時期に建築されたそうです。少し残念なのは、その建造物が今はバラバラ状態で、街並みとしての連続景観にやや不足感がある事です。それでも、水切瓦の白壁が美しく並ぶところを切り撮ってみました。携帯電話のカメラですが、少しは雰囲気をつかんで貰えるかと思います。こうした各地方の伝統的建造物に接すると、あらためて日本人の美意識の素晴らしさを感じるのです。