2006/11/25 駅前食堂

(尾鷲市賀田町~尾鷲市野路 19km)

尾鷲市の中心市街地は、私のイメージと違って昭和の色が濃く残った街でした。今日の宿は、街の核ともいえるJR尾鷲駅前のビジネスホテルです。夕食は、駅前の唯一の食堂店でとりました。店に入ると音量をいっぱいに上げたテレビの前で、高齢のご主人が独り座っていました。ボリュームを下げるように頼むと、「年とると耳が悪くて」と苦笑して下げてくれました。店内は、壁1面に品書きが貼られ、50cm大の布袋さまの焼き物が置かれ、店の歴史を語るがごとく鍋やヤカンの底は真っ黒です。こういう店は、旅人の旅情をかきたてるのか、休肝日のつもりだったのに、つい熱燗一本を頼んでしまった。ご主人は「お銚子は八分しか入らないから、コップでいいかい」と言う。勿論コップでと言うと、コップ酒に冷奴を付けてくれた。駅前なのにテレビの音しか聞こえてこない店で、この店とこの街は、これからどうなって行くのか、と独りコップ酒をあおったのでした。